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第9回サイエンスカフェ(2011年8月9日)レポート

「みのりカフェ」(東京・根津)にて

  • 参加者:17名(含むスタッフ3名)
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  • 話題:「からだのインフラ、血管」

  • スピーカー: 狩野光伸さん
    東京大学大学院医学研究科 病因・病理学専攻講師
【サイエンスカフェ レポート】

からだのインフラ、血管を考える


サイエンスライター
西村尚子

8月9日、東京、根津の「みのりカフェ」にて、第9回目となる「からだとこころのサイエンスカフェ」が開催されました。

日中の酷暑が冷めやらない夜7時、多くの方が汗だくで集まってくださいました。

今回のテーマは「からだのインフラ、血管」。お話を聞かせてくださったのは、東京大学大学院医学研究科 病因・病理学専攻講師の狩野光伸さんです。

狩野先生は、がんと血管との関係を分子のレベルで研究する一方、「医師でありながら基礎研究も行う若手研究者」の育成にも携わっておられます。

お話は、血管が全身をめぐるインフラであることから始まりました。

血管は、酸素や二酸化炭素、水分、糖やタンパク質などの栄養分、白血球などの免疫細胞、炎症に関係する信号物質やホルモン、筋肉が作り出した熱と、実にさまざまなものを運ぶ道筋として機能しています。

「実社会における高速道路で渋滞や事故、陥没といった異常が起きると、道路としての機能が失われてしまいますよね。

同じように、血管や血管内の物質の異常も、私たちの生命にさまざまな障害をもたらします」と狩野さん。

例えば、盛んに注意喚起がなされている熱中症では、血液中の水分が不足した状態に陥ることで、高熱、頭痛、吐き気、失神などを引き起こし、場合によっては死に至ることもあります。

また、脳の血管が詰まった脳梗塞、心臓の冠動脈が詰まった心筋梗塞、けがや事故などによる大量出血、血管が硬くなる動脈硬化、血管にできる腫瘍(血管腫やエイズでみられるカポジ肉腫など)などは、いずれも生命を脅かすような重大な異常です。

話題は、血管の医学的な応用へと続きました。

「血管が全身にくまなく張り巡らされていることが、さまざまな病気の治療や診断にも利用されています」と話す狩野さん。

たとえば、鎮痛剤を飲むと頭痛がおさまるのは、痛みのもとや伝達をブロックする薬の成分が、血管を通じて脳神経系にまで運ばれるからです。

画像診断用の造影剤、点滴による抗がん剤、貼り薬のホルモン剤などもまた、血管を通じて必要な場所に送り込むことができます。

診断への利用としては、白血球や赤血球、炎症物質の値などを調べることで、感染症や貧血の有無を知ることができます。

最近では、がん細胞が分泌する特定の物質(腫瘍マーカー)の血中量を調べることで、がんの診断に役立てようとの試みもなされています。

「がんでは、血管が異常なほど多くつくられ、そこからさまざまな物質がしみだしていきます。

私は、こうした現象を治療に利用するための研究もしています」と狩野さん。

後半は、みなさんからの質問に答えていただくかたちで進み、血管の細胞の寿命、血圧と女性ホルモンとの関係、血管の老化を防ぐ方法の有無、高齢化と高血圧などについて説明していただきました。

予定時刻をかなりオーバーするような質疑と応答がつづき、熱帯夜のなか、さらに熱を帯びたサイエンスカフェでした。